〜シニア向け分譲マンション入居者を対象に「骨の健康チェック」〜
骨粗鬆症は、骨量の減少と骨質の劣化により骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気です。加齢や閉経による女性ホルモンの低下に伴い、骨吸収と骨形成のバランスが崩れることが原因です。
高齢者、特に女性は骨折リスクが高い状態にあり、フレイル(身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすい状態)やロコモティブシンドローム(運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態)とも関連する骨折や、その要因となる骨粗鬆症に積極的にアプローチすることが社会的にも喫緊の重要な課題となっています。
こうした課題の解決を目指して、アムジェン株式会社は、ケアプロ株式会社、株式会社フージャースケアデザインと共催、公益財団法人 骨粗鬆症財団とロコモ チャレンジ!推進協議会の後援で、首都圏の2カ所のシニア向け分譲マンションの入居者を対象に、無料の「骨の健康チェック」を9月に実施します。
本取り組みは、アンケートによる問診、身長測定、QUS 法によるかかとの骨の超音波測定、看護師による測定結果説明からなる15分ほどのプログラムです。QUS 法は、測定に放射線を使用せず持ち運びが可能な機器のため様々なシーンでの測定が可能で、スクリーニングとして用いられます。また、WHOが開発した骨折リスク評価法のツールFRAXを用いて、今後10年間に骨粗鬆症による骨折を引き起こす確率を算出します。高齢者が自分自身の現在の骨の状態と将来の骨折リスクを知ることで、生活改善、予防、疾患の早期発見、適切な治療に取り組むきっかけになることを期待しています。参加者には骨粗鬆症財団やロコモ チャレンジ!推進協議会委員 石橋英明先生監修の骨粗鬆症およびロコモティブシンドロームに関する教材を提供し、骨粗鬆症に関する知識の向上の支援も行います。
ケアプロ株式会社 代表取締役社長 川添高志氏は次のように述べています。「従来のアプローチでは実現が難しかった疾患啓発イベント後のフォローアップや、生活の中で出てきた疑問にお答えするなど継続的な支援が、今回のパートナーシップを通じて可能となります。今回の取り組みは、高齢者のお住まいに赴いて実施することで、近隣の医療機関も紹介しやすく、施設に常駐する看護師による継続的な支援により、受診やその後の生活をサポートすることが可能です。スクリーニング検査と分かりやすく適切な情報提供を通じて骨粗鬆症を啓発し、早期に確実で適切な治療を受けられる機会を増やすこと、その場限りではない継続して支援していくことを望む各者の想いが一致し、新たな骨粗鬆症啓発のパイロット活動として実施されることになりました。マンションの住民が適切なタイミングで受診、検査を受けることのできる環境づくりの一助となることを期待しています。」
シニア向け分譲マンションでの「骨の健康チェック」について詳しくは、ケアプロ株式会社のプレスリリースをご覧ください。
日本の骨粗鬆症患者数と骨折件数
現在、日本における40歳以上の骨粗鬆症の有病者数は1,280万人(男性300万人、女性980万人)と推計されています1。加齢とともに増加し、特に女性に多く、高齢者人口の増加などから将来的にも増加すると推測されています1,2。また、加齢による骨粗鬆症の増加に相関して骨折も増え、60~70歳代にかけて急激に増加します3。発生件数も増え続けており、特に女性の大腿骨近位部骨折の件数は、1987年の3万9,700件から2017年には約3.8倍の14万9,300件にまで増加しています3。
参考文献
- Yoshimura N, et al. J Bone Miner Metab. 2009; 27(5): 620-8.
- Kanis JA, et al. J Bone Miner Metab. 2012; 30(6): 700-5.
- Takusari E, et al. JBMR PLUS Volume5, 2021. e10428.