生物学的製剤の製造は、科学者が錠剤やカプセル用に化合物を調合することとは大きく異なります。生物学的製剤は生きた細胞の中で作ります。製造工程は複雑で繊細であり、特定の医薬品に特有であることが多く、かなりのスキルと専門知識が必要です。軽微な変化であっても、細胞の挙動の変化や最終製品の構造安定性、その他の品質面における差異につながる可能性がありまする。こうした差異はいずれも治療の安全性や有効性および有効期間に影響を及ぼし、望ましくない免疫反応のリスクを増大させる可能性があります。
アムジェンは生物製剤製造のエキスパートです。私たちは、1980年代から始まった医療バイオテクノロジー革命の最前線に立ち、世界のバイオテクノロジー産業を構築するプロセス、方法、技術の発明に貢献してきました。
生物学的製剤の製造には、高度の技術が要求されます。タンパク質ベースの治療薬は、化合物ベースの薬剤の構造よりもはるかに巨大かつ複雑で、多様な構造を有しています。さらに、タンパク質をベースとした治療薬は複雑な生体システムを用いて製造され、均一な品質で製造するために、その生体システムには非常に精密な条件が必要です。製造工程は、以下の4つの主要な段階から構成されます。
一部の生物学的製剤は、大腸菌などの一般的な細菌を用いて製造できます。また、ハムスターなどの哺乳類から採取した細胞株を必要とするものもあります。これは、多くのタンパク質が哺乳類細胞でのみ産生できる構造的特徴をもっているためです。例えば、特定のタンパク質には糖分子が結合しており、その糖分子が正しいパターンで存在しないと、適切に機能しません。
製造工程は細胞培養、すなわちラボで培養した細胞から始まります。まず、細胞増殖に必要な栄養素を含む液体培地を入れたペトリ皿またはフラスコに細胞を投入します。量産する過程で、細胞はバイオリアクターとよばれる、より大きな容器に順次移されます。製造に使用される一部のバイオリアクタータンクには、2万リットルの細胞と増殖培地を保持できるものもあります。
このプロセスの各段階で、細胞が増殖するために必要な特定の環境を維持することが重要です。わずかな変化でも細胞に影響を及ぼし、細胞が作るタンパク質を変化させる可能性があります。そのため、最終製品の品質と一貫性を確保することを目的に、厳格な管理が必要です。科学者は温度、pH、栄養素濃度、酸素濃度などの変数を注意深くモニタリングします。また、細菌や酵母、その他の微生物による汚染を防ぐため、頻繁に検査を行います。
増殖工程が終わると、細胞や増殖培地から目的タンパク質を単離します。タンパク質のサイズや分子量、電荷に基づき、さまざまなフィルター技術を用いてタンパク質を単離、精製します。精製されたタンパク質は通常、注射や点滴が可能な無菌溶液と混合されます。最終段階では、最終製剤の各用量をバイアルまたはシリンジに充填し、ラベルを貼付し、包装し、医師や患者さんが使用できるようにします。