A biotechnology pioneer since 1980, Amgen has reached millions of patients around the world.
アムジェンは、患者さんが関心のある分野について学べるよう、多数のリソースを用意しております。
アムジェン株式会社は、ミッションとする「To serve patients 患者さんのために、今できるすべてを」を実現するための新しい働き方を導入しています。時間や場所にとらわれずに、社員が自らの能力と情熱を最大限に発揮して、日本の医療に貢献していくために必要なこととは。
日本における働き方の調査・研究を専門とする株式会社パーソル総合研究所 小林祐児 上席主任研究員を迎えて、アムジェン株式会社 執行役員 人事部長兼コーポレートサービス部長 梶山美紀がお話を伺いました。
アムジェン株式会社
執行役員
人事部長兼コーポレートサービス部長
梶山 美紀
株式会社パーソル総合研究所
シンクタンク本部 リサーチ部
上席主任研究員
小林 祐児
今大切なのは、自社の働き方のビジョンを示すこと
梶山 コロナ禍が始まった2020年1月以降、国内の企業における働き方はどのように変化してきたと見ていらっしゃいますか。
小林 一言でいえば、コロナの感染の波に対して後手後手でしか変わっていっていないのが現状ではないでしょうか。今はまさに企業にとって重要な転換期であり、この機会をとらえてポジティブな組織変革を促すことは、大きな強みです。しかしそのような変革の決断をし、ビジョンを提示し、リーダーシップをとれている企業は意外なほど少ないのが現状です。実際多くの企業で、なし崩し的にテレワークを解除し、コロナ前の状態の働き方に戻ってきています。実際当社が実施した調査ではワクチン普及後にテレワークを継続すると決めているのは25%、約40%の企業では未定と意思決定ができていません。つまり、テレワークへの移行が単に感染予防対策として実施されており、ダイバーシティやワークライフバランスなど企業の経営戦略として推進しているわけではないのです。
一方で、アムジェンでは、コロナ禍の継続の有無は関係なく、経営判断としてFlexSpace(柔軟な働く場)やNEWAYS(新しい働き方)によってビジョンや方向性を社員に示しました。この意思決定をこのタイミングできていることは素晴らしいと思います。
梶山 ありがとうございます。当社は2020年2月末から、派遣社員や業務委託の方も含め全社在宅勤務に踏み切りました。これは前例のないチャレンジでした。翌月に本社移転、また4月には新会社設立を控えた状況でしたが、経営陣と職場のリーダーたちが一体となって対応することができました。社会の状況が刻一刻と変化する中で、「私たちは患者さんのために貢献していく」という軸をぶらすことなく、会社が考えていること、進む方向性を必要なタイミングで社員に示すことができたのはよかったと思っています。
担当業務で働くスタイルは異なる
小林 アムジェンの取り組みでもう一つ素晴らしいのは、職務カテゴリー別に働き方のガイドラインを決めたこと。日本企業は職務ごとに違いを設けたがらず、特に現場業務でリモートワークができない人がいることを理由に全社的に施策を推進できない現状があると思います。違いがあって当たり前なのに「平等」を強く求めすぎる風潮があります。
梶山 担当業務によって働き方のスタイルは異なるはず、という意見は当初からありました。同じフィールド職でも、担当する医療機関の規模や専門領域によって対応は異なる場合がありますので、大枠を設け、その中で各自の状況に合わせて判断してもらえるように工夫しました。
リモートワークが機能するには縦の繋がりが重要
小林 リモートワークについてもう一つ、多くの日本企業がインフォーマルなコミュニケーション、つまり雑談ができないことを課題として挙げています。なぜ雑談が必要なのでしょうか。それは私は日本の組織はメンバーシップが強いからです。「仕事上のパートナー」ではなく「仲間」なんですね。このように水平的な横の繋がりが強い一方で垂直的な縦の繋がりが十分ではないことが日本の企業の特徴で、リモートワークがうまく機能しない一因になっていると考えています。
その点、アムジェンでは縦の繋がりがうまくデザインされていると思います。トップダウンだけでなくボトムアップからの取り組みともうまく結合されている。つまり垂直的なコラボレーションの力強さがこうした制度を支えているのだと思います。
梶山 当社の場合、米国本社との日常的なコミュニケーションがあり、一体感醸成の意識やその下地が整っているように思います。さらに、本社や各地域の経営層だけでなくその下のマネージャー層に対しても、それぞれのレベルや立場に応じた「アカウンタビリティ(責任)」が求められます。「あなたの責任で考え、実行してください」ということなのですが、もちろん経営層や上長は必要なアドバイスや支援を提供しますが、現場が決めたことは尊重しようとする姿勢が当社の企業文化になっていると感じます。これからは、社員自身が自分の働き方について責任を持って選択していくことになりますが、自由度が高まる分、設定した目標に対する成果と説明責任がより求められるようになると考えます。
働くモチベーションは働く中での幸福感
小林 新たに導入されたFlexSpaceとNEWAYSを社員はどう受け止めていますか。
梶山 当社ではもともとコロナ前から週2回までは在宅勤務をすることが可能でした。リモートワークを取り入れられるか否かは、それぞれの担当業務や状況によって変わる場合がありますが、多くの社員はポジティブにとらえているようです。昨年春、全国で学校が一斉休校になった際には、東京に単身赴任で来ている社員について地方の家族宅に戻って勤務をすることを認めたのですが、「家族をサポートできる」と歓迎する声が多く聞かれました。また子育てをしている世代の社員や介護が必要な家族を抱えている社員にとっても、リモートワークができる環境は社員の幸福度、満足度の向上につながっているのではないかと思います。
小林 「テレワークによって社員のコミットメントが弱くなる」と危惧する企業は多かったのですが、当社が実施した調査では、実際には導入した企業の方が、組織コミットメントが高いという結果が出ています。「会社は社員のことを考えて対応してくれている」ということが伝わったからでしょう。社員のコミットメント、エンゲージメントを高めるには、働く中での幸福感やWell Beingが得られるかが大切なんだと思います。
梶山 FlexSpaceやNEWAYSが推進され、新しい働き方が社内に浸透することは採用面でも大きなメリットになります。当社では今年の1月から、本社勤務者を対象とした「勤務地選択制度」を正式に導入しました。担当業務を遂行する上で特段支障がないこと、という条件はありますが、これにより日本全国の多様な人財へのアクセスが可能になりました。
小林 地方にも優秀な人財が多くいますので、FlexSpaceやNEWAYSの推進は、人財の確保にもプラスに働くと思います。
より対話の機会を増やすことが大切
小林 多くの年代でリモートワークによってWell Being指数は上がりますが、唯一下がるのが20代。これは、OJTを中心とした育成の問題です。リモートワークと出社のハイブリッドになってもこの問題はなかなか解決しないのではないかと思っています。新入社員と出社する日を合わせるといったチームごとの決めごとが大切です。何も決めないと出社状況がまだらになるだけで、育成にもプラスになりません。
梶山 当社でもコロナ禍で在宅勤務、リモートワークが原則となって以降は、中途入社の社員の受け入れや会社になれていただくための支援をどう行っていくか、が大きな課題でした。対面で話すことも、先輩や同僚と同行しての顧客訪問もできない。関係性が作れないことに皆とても苦労していました。
小林 一つ提案しているのは、上司と部下の1on1の対話を増やすこと。それに加えて、他部門との情報交換やネットワーキングを意識的に進めていくことです。他部署の人と関わることで、自部署の役割や自分の仕事を客観視することができますから。
働き方の制度は「永遠のベータ版」
小林 アムジェンは、自社でPost コロナ、Withコロナでのあるべき働き方のビジョンを示されたわけですが、環境がこれからも変わっていく以上、正確無比のビジョンなどというものはあり得ません。無理に「正解」を追求するのではなく、常に意見を吸い上げつつ変化していく、永遠のベータ版でいいのだと思います。
梶山 永遠のベータ版、良い言葉ですね(笑)。試行錯誤の段階では、誰でも意見が言えるオープンな環境も大切だと思っています。最後に、繰り返しになるかもしれませんが「コロナ禍だからリモートワークをせざるを得なかった」ではなく、逆にコロナがきっかけになって、働き方や働く場所について新しい考え方が生まれたのだ、ということをきちんと意識し、社内にも伝えていきたいと思っています。アムジェンには様々な経歴を持つ社員がいます。環境やその時々のビジネスの状況に合わせて制度をブラッシュアップしつつ、誰もが満足して働ける職場を作り、私たちのミッションである「To serve patients - 患者さんのために、今できるすべてを」を実現していきたいと思います。
アムジェンのFlexSpaceとNEWAYS
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして、アムジェン株式会社はFlexSpace(柔軟な働く場)とNEWAYS(新しい働き方)という革新的な取り組みを導入し、全社への展開を進めてきました。すべてのスタッフの働きやすさとやる気を引き出すことで、自社のミッションである「To serve patients」の実現を加速していきます。
※FlexSpaceとNEWAYSについては、こちらをご覧ください。